お尻の周りが急に腫れてきて痛みがある。そんな症状の時は痔瘻が原因かもしれません。 痔瘻と聞いてどのような疾患かイメージできるでしょうか。あまり聞き慣れない方がいるかもしれませんが、痔瘻は30〜40代の方に多く起こる疾患です。 痔瘻とは、お尻に膿のトンネルができ、化膿を繰り返す状態です。直腸と肛門の境目である歯状線（門の腸と皮膚の2つの組織が結合した部分）にある小さなくぼみに便が入り込むことで生じます。 痔瘻の原因となる穴を原発口、感染を持続させる部位を原発巣、皮膚開口部を二次口と呼びます。

痔瘻のおもな原因は、はっきりしないことが多いです。切れ痔が発展して起こる場合があります。 また、クローン病に合併するものや、結核・HIV感染・膿皮症などが関与する場合があります。 しかしながら、ほとんどの痔瘻は原因がわからないので「自分は便秘や下痢など、お尻に刺激を与えるような状況ではないから痔瘻ではないはずだ」と思わず、症状があればご相談ください。

小児にできた痔瘻は自然に治ることが多いのですが、成人にできた痔瘻は自然治癒することはまれであり、基本的に手術をしなければなりません。 手術にはさまざまな方法があり、専門性の高い肛門科の医師により評価、治療をおこなうことが非常に重要です。 痔瘻の形態によっては入院による治療が必要になることがあり、そういった際に対応できるように、当院では法人内の関連病院である辻仲病院柏の葉とシームレスな連携をおこなっています。 痔瘻のおもな治療法は以下のとおりです。

開放術式

開放術式は、細菌が侵入する原発口から膿が出ていく二次口まですべて開放する手術です。皮下痔瘻（肛門括約筋をつらぬいていない痔瘻）や低位筋間痔瘻（内括約筋と外括約筋との間を下に伸びる痔瘻）に対しておこなわれます。

シートン法

シートン法は一次口と二次口の間の瘻管（痔瘻の管）にシートン（ヒモ）を通し、少しずつ縛りながら時間をかけて瘻管を開放する手術です。シートンの材料としてはナイロン糸やゴム糸などが使用されます。

その他の複雑痔瘻に対する術式

瘻管が真っ直ぐ伸びていない、深い部分を走行している状態を複雑痔瘻といいます。複雑痔瘻の場合は、その瘻管の走行に合わせた治療が必要になります。