アニサキスとは?
アニサキスという寄生虫をご存知でしょうか。この寄生虫は、普段私たちが口にする魚介類に寄生しています。 アニサキスが寄生した魚介類を食べると、胃壁や腸壁に刺さり、食中毒を引き起こします。その結果、激しい腹痛や嘔吐・悪心などに見舞われるでしょう。 直近のアニサキスにおける食中毒を発症した患者さんの数は、令和元年〜3年の期間では400件未満でした。 一方で、令和4年では578人となり急増しています。翌年の令和5年では、441人に減少しているものの、年間400人以上の方がアニサキスに感染しています。 海外と比較すると、日本の症例数はかなり多く、欧州では1960年から2005年までの累計で約500件、アメリカでは約70件しかないと報告されています。 アニサキスは長さ2〜3cm、幅は0.5〜1mm程度で、白い糸のように見える寄生虫です。おもに、サバ・アジ・サンマ・カツオ・イワシ・サケ・イカなどの魚介類に寄生しています。
アニサキスの症状
アニサキスのおもな症状は、以下のとおりです。
胃アニサキス症
アニサキス症の中でも最も多いタイプであり、劇症型胃アニサキス症とも呼ばれます。感染すると、腹部の激しい痛み・悪心・嘔吐の症状が出ます。
腸アニサキス症
アニサキスが腸に貫通して入り込むと、腹痛・悪心・嘔吐などの症状が起こり、腸閉塞や腸穿孔が併発します。
消化管外アニサキス症
アニサキスが消化管を貫通して腹腔内へ脱出後、大網や腸間膜、腸壁皮下などに移行し、肉芽腫が生じる場合があります。
アニサキスアレルギー
アニサキスが寄生した魚介類を食べることで、蕁麻疹や血圧低下、呼吸不全や意識消失などの症状が起こる場合があります。
アニサキスの原因
アニサキスが寄生しているサバ・アジ・サンマ・カツオ・イワシ・サケ・イカなどの生鮮魚介類を生(不十分な加熱・冷凍を含む)で食べると、食中毒を起こします。
アニサキスの検査方法
胃内視鏡検査にて、胃の粘膜に存在するアニサキスを見つけ出し、鉗子(手術などで組織や臓器を掴むための器具)で摘出します。
アニサキスの治療方法
胃内視鏡検査にて、胃の粘膜に存在するアニサキスを見つけ出し、鉗子(手術などで組織や臓器を掴むための器具)で摘出する方法が一般的です。なお、アニサキスに対する駆虫薬は開発されていません。 アニサキスの予防方法として効果的なのが、加熱・冷凍です。加熱する場合は、70℃以上の温度で熱してください。(60℃なら1分) 冷凍する場合は、−20℃で24時間以上凍らせる必要があります。一般的な料理で使用する食酢での処理や塩漬け、醤油やわさびなどではアニサキスは死滅しません。 アニサキスは内臓に寄生した後、筋肉へ移動する場合があります。そのため、魚介類を購入する際は、新鮮な魚を選び、速やかに内臓を取り除きましょう。 アニサキスは、肉眼でも確認できるサイズであるため、万が一魚の身などで発見した場合も確実に取り除いてください。 見つけにくいという方は、ブラックライトを使用すると発見しやすくなります。魚介類を食べる際は、自身だけでなく大事な家族や友人などを守るために、しっかり調理しましょう。
アニサキスが不安であったりお困りの方は当院までご相談ください
アニサキスは、私たちの食生活に身近な魚介類に寄生します。感染すると、激しい腹痛や嘔吐・悪心などに見舞われるおそれがあります。 場合によっては、腸閉塞や腸穿孔が発症し、緊急手術が必要になるケースもあるでしょう。 魚介類を食べる際は、新鮮なものを選び、内臓を確実に取り除くことが大切です。また、必ず加熱・冷凍した状態で食べましょう。 新鮮な魚を美味しく食べるためにも、正しい知識のもと、適切な処理をして食べることが大切です。 万が一魚介類を食べた後、腹痛や悪心、嘔吐などの症状が出た場合は速やかに当院までご相談ください。